力を入れたい」「自分は販売出身だが、工場経験もしたし、合併後は購買、現場をみてきた。
製造、技術、販売の3つのインテグレーション(統合)を図りたい」Oは、1995年8月の社長交代の記者会見でこう発言し、強い意欲をのぞかせた。
Oは、情実よりも資本の論理を優先し、国際競争を生き抜く決意をみせた。
「T社を取り巻く情勢は非常に厳しい。
この1、2年の対応次第で、21世紀にも成長・発展を約束された企業となるか、あるいは20世紀に繁栄した過去の企業に終わるのか、重大な分岐点に立っている」「これからのT社はなにも変えないことが最も悪いことだと思ってほしい。
トライ.アンド・エラーで構わない。
果敢に挑戦した事実に対し、正当な評価をしていきたい」1995年8月215日、取締役会で正式にT社社長に就任したOは、T田市のT社本社で各部の代表者を集めてこう所信表明し、社内のマンネリムードを打ち破って攻勢に転じるよ「シェアは大事だ。
40%を割るか割らないかで、天と地の差がある」・Oは販売関係者との会合では国内シェア40%確保を至上命令として掲げ、それを完遂することを求めた。
同時に海外生産拡大に伴う国内雇用の維持については、資産を吐き出しても雇用を守ると言明、経営者としての責任を明確にした。
徹底した実力主義と「社徳」1996年5月、Oは社長就任後初めての役員人事を発表した。
新任取締役への登用は過去最高の16人にのぼった。
「もっと若返りをしたかったが、人材は、若干はそろえられた」とOは感想をもらした。
役員の平均年齢は下がり、老化に歯止めがかかった。
若返りはグループ企業にも広がり、デンソーなどが社長交代に踏み切った。
人事制度面では入社年次を問わない考課・昇格を柱に、能力主義を徹底した実力本位の賃金制度が導入された。
沈滞ムードが強かった販売店対策としては、販売促進費を大量に投入することを約束するとともにディーラーとの会合で商品力が不足していることの非を率直に認め、やる気をあおった。
96年春からは出遅れていたレクリエーショナル・ビークル(RV)でも新車を相次いで投入、将来はスモール・コンパクトが市場の主流になるとみて、世界戦略小型車の開発にも着手した。
その第一弾が99年に発売した「ヴィッッ」で、若い世代のヒットとなった。
海外戦略も、97年にフランスでの乗用車工場建設計画を発表したのをはじめ、97年から98年にかけてインド、英国、米国など、矢継ぎ早に海外投資計画を発表、わずか一年の問に3千億円近い海外投資を表明した。
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